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超硬について

超硬について

【超硬タガネに関して】 目次から興味があるものを参考にしてください。
1.《超硬素材について》
2.《鏡面仕上げの重要性》
3.《鏡面と鏡面仕上げの違い》
4.《研磨の見解》
5.《電着砥石とレジンボンド砥石の粒度》
6.《超硬タガネの鏡面仕上げ》方法① 随時追加

1.《超硬素材について》
超硬素材について説明します。
・ 超硬合金とは文字通り極めて硬い合金の総称です、一般的には炭化タングステンと結合剤であるコバルトを混合して焼結したものを超硬とします、ダイヤモンドに次ぐ硬さを誇っており、比重は鉄の約2倍あり小数点以下3桁まで金とほぼ同じです、タングステンは超硬の事実上の代名詞ともなっている物質で、近年ではタングステンが紛争鉱物に指定されるに至るなどにより価格も高騰しています。

・ 鋼の中で最も硬いのはビッカース硬度で約700の高速度鋼と呼ばれるハイスです、超硬はそのハイスよりもはるかに硬くビッカース硬度は約2000以上の素材です。 超硬はダイヤモンドの次に硬い人工金属です、成形加工するには一般的にダイヤモンド粒をボンドで焼き固めたレジンボンドダイヤモンド砥石や金属にダイヤモンド粒を電着した電着ダイヤモンド砥石を用います、また、鏡面仕上げには粒度の細かいレジンボンドダイヤモンド砥石やダイヤモンドジェル、ダイヤモンドペーストなどを用います。

・ 超硬タガネにおける最大の利点は圧倒的な硬さです、金属は硬ければ硬いほど磨耗には強くなります、又ハイスではありがちな成形時などの高い摩擦熱によって硬度が落ちる、いわゆる焼き戻し(訛る)といわれる現象も無く砥石等で発熱しても硬度は落ちません、摩擦に非常に強く変形もしません。 一方、硬いものほど、靭性(ねばり)が無く、捻じれや無理な力が掛かるとステンレスなどの金属のように曲がることはなく、ガラスや陶器のように欠けてしまうのです、「エッ?」と驚くくらい簡単に欠けが生じます。

・ つまり、超硬は熱に強く耐摩耗性にも非常に優れているが衝撃に弱い、という性質があります。 逆にいえばミクロ単位でも曲がらないのが他金属との性能差であり利点なのですが、、、、、 硬いダイヤモンドが曲がったり凹んだりしないのに実は簡単に割れることをご存知でしょうか、超硬もそれと同じ事が言えます。


2.《鏡面仕上げの重要性》
・ 前項にて超硬は熱に強く耐摩耗性に優れているが衝撃に弱いということを記載しました、勿論、超硬タガネに関しても同じことが言えます、ではなぜ衝撃に弱いのに彫金では超硬タガネが主流となっているのでしょうか、当社での超硬タガネの比率は和彫りタガネが90%、洋彫りタガネは2017年夏から販売を開始して現在約50%を占めています。

・ 理由は、スムーズな切れ味、彫った加工溝を磨く必要のないほどの光沢、耐摩耗に優れているので刃先加工の頻度が少なく効率的、など衝撃に弱いデメリットを差し引いてもありあまるメリットがあるからです。

・ 超硬タガネの欠けや割れの原因は衝撃に弱い超硬の性質によるものです、しかし旋盤用超硬バイトなどと異なり手工具ですので人間の腕などがショックアブソーバーの役目となり衝撃を緩和します、慣れれば欠けない程度の力具合を自然に体が覚え高品位な加工を維持できるようになります。
また、欠けの原因で素材の他に大きな要因として言えるのが仕上げ精度です、大半の方は超硬タガネを鏡面仕上げして使用しています、実はこの鏡面仕上げの必要性には2つの理由があります、切れ味と高品位な加工面、つまりの光沢を得ることにあります、もう一つは欠けを最小限に防ぐということです。

・  成形研磨された超硬の表面はダイヤモンド粒によって傷が付いています、この傷が欠けの要因となります、解りやすく言えばガラスをカットするには先端がダイヤモンドや超硬のガラスカッターで傷をつけ、その傷を核としてカットします、それと同じ理屈で、鏡面仕上げを施せば傷を核にして起こる欠けを減らす事ができます。 この鏡面仕上げは欠けにくく切れ味良い超硬タガネの良し悪しが決まる大きな要因、つまり生命線と考えています。


3.《鏡面と鏡面仕上げの違い》
・ 余談になりますが、厳密にいえば鏡面とは真っ平らな鏡の面のように無傷な事を言います。
実は研磨という作業や塗装においても仕上がりで通常は鏡面を作り出せません。
鏡面とは鏡の表面であり、鏡の製造工程の中において研磨作業は入りません。 研磨とは表面に傷をつける作業です、いくら細かい研磨剤やダイヤモンドペーストで研磨しても凹凸は残ります、では、鏡面仕上げとは何ぞや?
鏡面仕上げとは肉眼では確認出来ないほどミクロン単位の小さい凹凸にし、反射して物が歪みなく映る鏡のように仕上げることです、仕上げ状態の際に鏡面仕上げという表現をします。


4.《研磨の見解》
・ あくまでも当方の見解です、超硬タガネの研磨仕上げにはいくつかの段階があり
※ 【粗仕上げ研磨】粗いヘアーライン状態
※ 【中仕上げ研磨】細かいヘアーライン状態
※ 【仕上げ研磨】光ってみえる状態
※ 【光沢仕上げ】光っている状態
※ 【鏡面仕上げ研磨】鏡のように光っている状態
などの研磨状態があります、鏡面仕上げに至るにはいくつかの段階を踏むことが重要で最初から鏡面仕上げにすることはできません。


5.《電着砥石とレジンボンド砥石の粒度》
・ 先に説明しましたが電着ダイヤモンド砥石は金属の上にダイヤモンド粒を電着(メッキと同じ)したもので、感覚は紙鑢と同じで触るとザラザラしていてダイヤモンド粒を感じる事ができます、消耗も紙鑢同様表面のダイヤモンド粒が無くなった時点で役目は終了します、一方、レジンボンドダイヤモンド砥石はダイヤモンド粒をボンドで焼き固めていますので層全体がダイヤモンド層となります、粒度の細かいものは触ってもザラザラ感はなくすべすべしています、価格は高いのですが電着ダイヤモンド砥石の数十倍の長寿命があります。

・ 電着ダイヤモンド砥石とレジンボンドダイヤモンド砥石は同じ粒度表記であっても粒度規格が異なるため仕上げの面精度は全く異なります、 例えば#2000の電着ダイヤモンド砥石で加工した表面は肉眼でも研磨傷が解るほど粗く光沢面にはなりません、しかし#2000のレジンボンドダイヤモンド砥石では鏡面仕上げになります、更に#2000のレジンボンドダイヤモンド砥石と同じ鏡面仕上げはダイヤモンドジェルやダイヤモンドペーストでは#1000程度で得られます。

・ 当方の主観としては下記の通りです。
※ 電着ダイヤモンド#2000=レジンボンドダイヤモンド#300~500程度
※ レジンボンドダイヤモンド#2000=ダイヤモンドジェルやダイヤモンドペースト#800~1000程度

実際に当方のタガネ製作の過程では
① レジンボンドダイヤモンドホイール#120で切削成形 (電着ダイヤモンド砥石#120~400に相当)
② レジンボンドダイヤモンドホイール#300で更に成形(電着ダイヤモンド砥石#800~2000に相当)
③ ヒールとフェイス面をレジンボンドダイヤモンドホイール#800で研磨 (電着ダイヤモンド砥石#3000では粗い)
④ ヒールとフェイス面をレジンボンドダイヤモンドホイール#2000で鏡面仕上げ研磨
⑤ ヒールとフェイス面をダイヤモンドジェル#1000~1500で鏡面仕上げ研磨
で仕上げています、最後のダイヤモンドジェルで研磨するのには理由があり、肉眼では全く分からない程度に角を取ってヘタらせています、先端の入り込み時に鋭い刃先では欠け易いので負荷を軽減する為に行います。
最初から細かい粒度を使用すると時間が掛かりますのでこのような工程を踏んでいます。


6.《超硬タガネの鏡面仕上げ方法①》
鏡面仕上げの必要性についてはご理解いただけたと思います、当方の超硬タガネは和彫り洋彫り共にヒールと言われる下刃、フェイスと言われる上刃はレジンボンドダイヤモンド砥石とダイヤモンドジェルで鏡面仕上げを施し出荷しています。
では超硬タガネを使用している初心者またはこれから使用しようとしている方に、先端が欠けてしまった場合を想定し、鏡面仕上げを行える最も簡単な方法について説明します、ただし、手砥ぎをできるだけ安価に行う方法でレジンボンドダイヤモンド砥石を使用しないので加工時間は結構掛かります。
① 電着ダイヤモンド砥石(欠けの大きさに応じて#120~#1200)で成形(包丁研ぎの要領)
② 更に細かい粒度の電着ダイヤモンド砥石#3000で研磨(3000でも粗いのですがこれ以上細目の電着品はありません)
③ ハンドモーターに軸付フェルトもしくはフェルトホイールのハードを装着します。
④ フェルトにダイヤモンドジェルの#2000~#4000を塗布します。
⑤ 刃先を奥にしてヒールの部分を上にし、ハンドモーターを逆回転にして、手前から刃先に磨き上げていきます(保護マスクと保護メガネは忘れずに)、この時ヒール全体を磨く必要はなく先端だけで事足ります、正回転で磨くと先端に引っ掛かりとても危険です。
先端を手前にして磨く場合は、ハンドモーターは正回転にしてください。
⑥ ヒールを磨いたらフェイスを同じように磨きます。
もしも傷取り程度の修正研磨であれば③からでOKです。

 

2018-04-26 12:29:30

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