超硬工具
《超硬タガネの加工に関して》
⑴ 超硬の加工に関しての注意事項
⑵ 超硬タガネの特徴
⑶ 超硬タガネの加工
⑷ レジンボンドダイヤ砥石と電着ダイヤ砥石
⑴ 超硬の加工に関しての注意事項.
超硬素材であるタングステンと結合剤(バインダー)であるコバルトはいずれも健康に対する有害性があります、特にコバルトに関しては発がんのおそれの疑いがあります。
実際に超硬を加工してみると、比重が金とほぼ同じこともあり粉塵よりも大きい粒子の粉は定盤の上に蓄積されていきます、しかしながら粉より微細な微粒子は防塵マスクに付着します、集塵機を使用しますと粒子の粉は定盤の上に蓄積されますが微粒子は集塵されることが当社で実証済みです、健康のために必ず集塵環境下で使用してください(出来れば防塵マスクも併用してください)。
⑵ 超硬タガネの特徴
超硬タガネにおける最大の特徴は硬さです、その硬度によりスムーズな切れ味、彫った加工溝は鏡面or光沢、耐摩耗性に優れ刃先加工の頻度が少なく効率的、リカットなど切削量が少なくランニングコストは抜群に良い、、、、他の材質のタガネでは得られないメリットが沢山あります。
⑶ 超硬タガネの加工
超硬タガネの欠け要因の一つがワークに入り込む時に先端ピン角部分(ヒールとフェイス部)に対する負荷によるものです、このピン角を糸面取り(少しの面取り)することで欠けをカバーできます、糸面取りは細番手のレジンボンドダイヤ砥石やセラミック砥石、アルカンサス砥石などを用い枡、手砥ぎでも十分ですが当社ではフェルトにダイヤコンパウンドを用いてモーターツールにて行っています。
もう一つの要因が仕上げ精度です、超硬タガネは鏡面仕上げして使用すると切れ味と高品位な加工面を得ることができますが同時に欠けを防ぐ事にもつながります、粗い番手で加工された超硬の表面は大きい砥粒によって傷が付いています、この傷が欠けの核となります。
⑷ レジンボンドダイヤ砥石と電着ダイヤ砥石
電着ダイヤモンド砥石は金属の上にダイヤ砥粒をニッケルメッキにより接着したものしたもので、感覚は紙鑢のようにザラザラしていてダイヤモンド粒を感じる事ができます、レジンボンドダイヤモンド砥石は砥粒をボンドで焼き固めていますので層全体がダイヤモンド層となります、粒度の細かいものは触ってもザラザラ感はなくスベスベしています。
※ 電着ダイヤ砥石やレジンボンドダイヤ砥石の粒度比較や加工方法など詳しくは超硬素材・研磨加工についてをご覧下さい。

2025-02-05 11:34:30
以前、当社のタガネ製作のロウ付け作業をご紹介しましたが今回は柄(ハンドル部)の仕上げ作業を紹介します。
タガネ製作の工程は下記のようにハンドルの製作から始めます。
①丸線を切断する。
②切断した丸線を油圧プレス機で圧線
③超硬チップの差し込み部の溝切
④ハンドルと超硬チップをロウ付け
⑤超硬チップ4面とロウ付け部分を切削研磨
⑥ハンドル部をヘアライン研磨
⑦各サイズに幅調整
⑧刃先を加工研磨
工程は大まかに分けると以上となりますが、⑤や⑦、⑧には更に数段階の加工があります。
刃先加工では第一、第二段階では成形を行い、次に中研磨を行い、最後に⇒鏡面仕上加工を行います。
前回、ご紹介したロウ付けは④の工程です。
今回は⑥の工程です。
⑤は効率を上げるためにオリジナル切削機を使用しているのでお見せすることができません(スイマセン)、
⑦と⑧の工程はのちに紹介していきます。
と、いうことで画像左は⑤の工程が終わった状態です、真中画像はサテン仕上用の不織布研磨バフ(スコッチフラップバフなど)作業です、右画像はヘアライン加工が済んだ状態となります。
2020-02-06 11:54:49
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《超硬の加工に関して》
⑴ 超硬の加工に関しての注意事項
⑵ 超硬素材について
⑶ 超硬の加工
⑷ レジンボンドダイヤ砥石と電着ダイヤ砥石の粒度
⑸ レジンボンドダイヤ砥石の各工程研磨による面精度
⑴ 超硬の加工に関しての注意事項.
超硬素材であるタングステンと結合剤(バインダー)であるコバルトはいずれも健康に対する有害性があります、特にコバルトに関しては発がんのおそれの疑いがあります。
実際に超硬を加工してみると、比重が金とほぼ同じこともあり粉塵よりも大きい粒子の粉は定盤の上に蓄積されていきます、しかしながら粉より微細な微粒子は防塵マスクに付着します、集塵機を使用しますと粒子の粉は定盤の上に蓄積されますが微粒子は集塵されることが当社で実証済みです、健康のために必ず集塵環境下で使用してください(出来れば防塵マスクも併用してください)。
⑵ 超硬素材について
一般的に炭化タングステンと結合剤であるコバルトを混合して焼結したものを超硬とします。
鋼の中で最も硬いのはビッカース硬度で約700の高速度鋼と呼ばれるハイスです、超硬はビッカース硬度約2000以上のはるかに硬い素材でダイヤモンドに次ぐ硬さを誇っており、比重は小数点以下3桁まで金とほぼ同じです。
超硬はハイスでありがちな摩擦熱によって硬度が落ちる、いわゆる焼き戻し(訛る)といわれる現象も無く、摩擦に非常に強く変形もしません。一方で靭性(ねばり)が無く、捻じれや無理な力が掛かるとガラスや陶器のように欠けてしまいます。つまり、超硬は熱に強く耐摩耗性にも非常に優れているが衝撃に弱いという性質があります、硬いダイヤモンドが実は簡単に割れることをご存知でしょうか、超硬もそれと同じ事が言えます。
⑶ 超硬の加工
超硬を加工するにはダイヤモンド粒をボンドで焼き固めたレジンボンドダイヤ砥石、金属にダイヤモンド粒を電着した電着ダイヤ砥石、ダイヤコンパウンド、ダイヤジェル、セラミック砥石、アルカンサス砥石などを使い分けます。
成形や折れた状態からの加工など切削量が大きい場合にはモーターツールを使用することをおすすめします。
中仕上、鏡面仕上げのような切削量が少ない場合にはモーターツールを使用するか手砥ぎでも加工できます。
成形から中仕上まではレジンボンドダイヤ砥石(粗番手)と電着ダイヤ砥石が適しています。
仕上にはレジンボンドダイヤ砥石(中番手)が適しています、レジンボンドダイヤ砥石程切削力は無いもののセラミック砥石、アルカンサス砥石も適しています。
鏡面仕上にはレジンボンドダイヤ砥石(細番手)が適しています、必要に応じてダイヤコンパウンド、ダイヤジェルなどで更なる鏡面仕上とピン角、ピン先による欠け防止のための糸面取りを施します。
《糸面取りとは超硬の欠けの要因でもあるピン角部分を少しの面取りをすることで欠けにくくする手法です。をカバーできます、当社では超硬製品の先端部は最後にフェルトにダイヤコンパウンドを塗布しモーターツールにて目視できないほどの糸面取りを行っています》
⑷ 電着ダイヤ砥石とレジンボンドダイヤ砥石の粒度について
電着ダイヤ砥石は金属の上にダイヤ砥粒をニッケルメッキにより接着したものしたものです、感触は紙鑢のようにザラザラしていて粒を感じる事ができます、紙鑢同様に表面のダイヤモンド粒が無くなった時点で役目は終了します。
一方、レジンボンドダイヤ砥石は砥粒をボンドで焼き固めていますので層全体がダイヤモンド層となります、触ってもザラザラ感はなく細番手はスベスベしています、電着ダイヤモンド砥石の数十倍、数百倍(当社の見解)の寿命があります。
モーターツールで使用した場合、電着ダイヤ砥石とレジンボンドダイヤ砥石は同じ粒度表記であっても仕上り面精度は全く異なります、 例えば#2000電着ダイヤ砥石の場合、細かな研磨傷が残り光沢面にはなりません、しかし同じ#2000のレジンボンドダイヤ砥石では光沢面になります。
つまり電着ダイヤ砥石ではいくら細番手を使用しても鏡面どころか光沢面も得られません(当社の見解)、面精度は電着ダイヤ砥石の#2000~#3000とレジンボンドダイヤ砥石#600~#800が同程度と思います。
理由は、電着ダイヤ砥石は砥粒の30~50%が突き出ています、レジンボンドはダイヤ砥粒を樹脂ボンドに混ぜ込んだもので砥粒の突き出し量は極極僅かで一つの砥粒にかかる力が弱く表面粗さが小さくなるためです。
また、レジンボンドダイヤ砥石は摩耗するたびに砥粒は切り離され新しい砥粒に生まれ変わっていくため寿命は非常に高くなります、当社の見解ではレジンボンドダイヤ砥石は電着ダイヤ砥石の数十~数百倍の寿命があります。

⑸ レジンボンドダイヤ・セラミック砥石(電着ダイヤ砥石)の各工程研磨による面精度(当社の見解)
※ 【粗仕上げ】#80~120 (電着ダイヤモンド砥石#120~400に相当)
※ 【中仕上げ】#300~600 (電着ダイヤモンド砥石#800~2000に相当)
※ 【仕上げ】#600~800 (電着ダイヤモンド砥石#3000では粗い)
※ 【光沢仕上げ】#1200~#1500
※ 【鏡面仕上げ】#2000以上
※ 【更なる鏡面仕上げ】ダイヤコンパウンド#3000以上で鏡面仕上げ研磨&糸面取り
注:再研磨などは【仕上げ】や【光沢仕上げ】行程からで行うなど、状況に応じて下さい、あまり細かい粒度から始める時間が掛かります。
2018-04-26 12:29:30
超硬タガネを銀ロウ付けしているところです。
タガネを製作するには、まずハンドルの製作から始めます。
丸線を切断して油圧プレス機で圧線したら超硬の差し込み部に溝を切ります。
超硬は彫金専用に焼結したものを使います。
超硬は焼結時に表面がカーボン被膜に覆われています、
そのままの状態ではローを弾いてしましますのでロウ着部分を磨いておきます。
特注の定盤の上にセットしたら1回にに200本一気にロウ付けします。
今回はスチールのハンドルなのでロウの廻りは良いのですがステンレスの場合は少し難しくなります。
超硬は融点が高いので地金のように溶ける心配はありませんが、上手に熱を加えないと再びカーボンが付着しローが廻りません。
超硬は急冷すると脆くなりますので自然冷却します、これを月に何回か1日中繰り返します。
2018-02-28 08:38:48
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今回は超硬の最終仕上げまでの加工状態を紹介します。
当社では超硬加工を全て手作業で製作しています。
加工道具には砥石やコンパウンドなど全てダイヤモンド工具を使用しています。
へらやタガネ、キサゲ、巣埋めポイントなどなど、柄の加工や銀ロー付け、超硬部以外の研磨も全て手作業で行います。
画像はヘラの先端加工です、最初はストレートシャンクから成形を始めます、次に成形時のキズを取り除きます。
次は仕上げ用のダイヤモンドコンパウンドで鏡面仕上げを施します。
市場では、この段階(右から2番目画像)の状態で販売されているものもありますが当社では更に細かい粒度のダイヤモンドコンパウンドをもちいで鏡面研磨を行います。
製品サイズによって研磨時間は異なりますが、例えば超硬ヘラの3mmでしたら仕上がりまで延べ50分ほど掛けています。
今回は最終研磨までの、へらチップの画像のみですが徐々に作業シーンも載せていきます。
2018-02-07 17:00:59
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https://www.nozawass.com/category/385/
3日前に発売した超硬洋彫りタガネですが既に品切れが出ておりご迷惑をお掛けしています、スイマセン。
なかなか生産スピードが上がらず奮闘しています。
成形は最初粗いダイヤで作業します、研削機にセットしインデックスで角度を出します。
ダイヤの番手を上げて(粒度を細かくして)同じ工程を2回作業、割と坦々と作業は進みます。
超硬も巾が薄くなってくると撓りが出るため作業スピードはゆっくりとなります。
成形後いよいよ鏡面の研磨です、画像は鏡面加工に入る前と後の画像ですが和彫りタガネと異なり洋彫りタガネは鏡面加工面積が広いのが特徴です。
どうしても面積に比例して時間が掛かります、、、、
続きはまた次回にお話しします。
2017-09-28 10:32:42
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https://www.nozawass.com/category/385/
『日本製超硬洋彫りタガネTung-W』
長年お待たせしましたが、ついに超硬洋彫りタガネの発売です。
初回は製作数が少なく売り切れが出た場合は少し時間が掛かりますのでご了承ください。
洋彫りタガネはハイス、HS、HSSなどと呼ばれているハイスピード鋼が主流になっています。
今回販売する洋彫りタガネは当社のオリジナルで2年以上前から試行錯誤を繰り返し販売に至ったものです。
製品完成までは順調でしたが、製作時間が掛かりコスト高になってしまいました。
原因は鏡面仕上加工でした。
超硬はハイスの約3倍の硬度があります。したがってダイヤ砥石やダイヤペーストを使ってカットや成形、研磨、仕上げを行います。
しかし、ダイヤ製品を使ってもハイスの加工のようにサクサクとは作業できないのです。
目標は
① 日本製である。
② 超硬材である。
③ 下刃/上刃の仕上げは鏡面の完成品である。
④ 超硬製の完成品でありながら安価な事
でしたので④に抵触します、
もしも高額で販売するならそれでも良いのでしょうが、それでは意に反します、、、と言う訳でなかなか販売に至らなかったのです。
製作に関しましては追々書き込んでいきますのでよかったらチェックしてください。
何はともあれ販売に漕ぎ着けて良かった~~~
2017-09-25 15:24:54
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昨日、30年来の友人、と言うか兄のような存在であるKさんを訪問しました。
実の兄ではありませんが、私が尊敬する彫り職人で歳が上なので兄貴と呼んでいます。
実は弟も外国にいて3人血縁関係はありませんがが、それぞれ彫金に携わっていて、三兄弟としてお互いに刺激を受けています。
この彫り師Kさんは弟子が大勢いて昔弟子を訪ねる旅も一緒したことがありました。
とにかく研究熱心で今なお進化しているKさんです。
以前、友人の男性から#25特注印台リングに2ctのダイヤを五光留めして欲しいと依頼され大勢の彫り師に断わられた時、難なく完璧にしかもその場で彫り留めしてもらいました。
その時使用していたのは、野沢製作所のタガネでお互いタガネについて熱く語り、それから付き合いが始まりました。
余談は少しづつブログで紹介していきますね。
今回はそんなKさんの机を撮影してきました。
とりあえずこんな感じで彫り留めしています。


2017-09-13 10:01:23
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超硬ダイスW2(W1)の規格最後の販売をします。
と言っても数はあんまりありませんので希少ですよ。
何が希少かというと、数年前に国産超硬ダイスは、より強度を持たせるということでサイズが大きくなりました。
強度を持たせると言っても、ステンレスや銅を連続で自動伸線機にて使用する場合を想定していますので宝飾用としてはかなりオーバースペックとなります。
W2が直径20mmに対しW3は30mmとかなり大きくなります。
中心の超硬部も直径は3mm程度大きくなりますが体積では倍以上となります。
当社では自社でもダイス製作を行っていますがW3はW2の倍以上製作時間が掛かります。
また、材料も高いため小売価格はやはり倍以上となります。
日本製のダイスは線引き板と違って穴の形状は綺麗なテーパー状からストレートの部分になり、バックと言われる線を引き出す部分は線切れを起こしにくい逆テーパーになっています、また、引いた線も超硬の穴内部は鏡面となっていますので非常にきれいな仕上がりとなります。
そうはいっても全てのサイズをそろえるのは非常に高額です、そこで提案ですが例えばФ0.7mmの線を引く場合手前の0.75まで線引き板で引き、仕上げを超硬ダイスを使用すれば本当に綺麗な線が引けますよ。
現在、W2のダイスが流通していますが当製品以外は全て東南アジア製、もしくは韓国製となりますが国産のダイスと比較するとやはりクウォリティーは低いようです。
今回、在庫分を売価は昔のままで販売しますがすでに市場にはありませんのでお早めに、、、、
将来、万が一超硬内部に傷がついた場合は当方にご連絡ください、1サイズアップしますが修理が可能です、国産ダイスの利点ですね。
宜しくお願いします。
https://www.nozawass.com/item/F21-21/

2017-08-29 13:47:26
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