修理とメンテナンス
ロール研磨について最後となります。
いよいよ手元にロールが届き組み立て作業に入ります。
組立は簡単にいえば分解した手順と逆の手順で組み立てていきます。
分解時と同じですがギヤに指が巻き込まれないよう細心の注意をして作業します、1人で作業する事が大事です。

下のロールを装着して上のロールを装着すると同時に2本のロールの間にバネを装着します。
上部両サイドのギアを回しながら先端キャップ(無い機種もあります)を装着して下のロールと上のロールの間にあたり傷が付かないようにボール紙などを挟み隙間が無いように合わせた状態にします。
その状態で板厚調整ダイヤル(上部中央のダイヤル)を装着して終了です。
後はハンドルを装着して完了です。
注意事項
● 日本のローラーは精密に作られています(アソビが少ない)、力ずくでは中々組立できません、特にロール部は左右同時にゆっくり組み立てることがポイントです。
最後に末永く使用するために、またロールの状態を保つためのコツを記載します。
① 地金は焼きなましする、また数回圧延すると加工硬化するので再度焼きなましする。
② 地金の表面を綺麗にしてから圧延する、フラックスの粉やススなどのカーボンが付着しているとロールに傷が付きやすい。
③ 一度に大きく圧延しない、面倒でもすこしづつ圧延しロールへの負荷を小さくする。
④ 使用しない時は錆びないように布に油をしみこませロールに押し当てながら回しロール表面に塗布、中には圧延時も注油するように汚れたら交換しますが布を本体に常時装着している方もいます。
長々、5回にわたりロール研磨について記載しましたが、復活の見込みがない彫金用国産ローラーは手に入るならば再生して使用して行きたいものです。
一時は多くの昭和生まれのローラーが不要となり、また再生できると知らず鉄くずとして廃棄されたようですが、今思えば速く手を打てばよかったと後悔しています。
とはいえ、市場にはまだ残された名機たちがありますので探してみてください。
輸入品は日本製を模倣しているので形だけでは判断できません、くれぐれもハープやヨシダ製の国産であることを確認してください。
当社ではギア欠けなどの使用できないローラーも部品取り用として買取しますのでお気軽にご連絡ください。
2020-02-21 09:28:52
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ロール研磨の第4弾、
ロール研磨の受付方法は3タイプ
① 本体のまま送って頂く場合
② ギア付きのままロール部を送って頂く場合
③ ロール部のみを送って頂く場合
勿論、本体のままで結構ですが、分解してギア付ロールもしくはロールでお送り頂けるとお安く仕上がります。
大型ローラーの場合、本体をお送りいただくと往復送料約7.000円、分解と研磨2本で22.000円、計29.000円(税抜)
ロールギア付の場合は送料往復約3.000円、研磨2本17.000円、計20.000円(税抜)
ロールのみの場合は送料往復約2.000円、研磨2本16.000円、計18.000円(税抜)
これは関東の場合で遠方であれば更に価格差が大きくなります。
今回は事細かく分解の手順を記載しますので是非ロールの取り外しにチャレンジしてください。
オークションなどで安く手に入れば、なおさら、チャレンジしてみましょう。
例えばサビサビ状態の大型ローラーが20.000円程度で購入できた場合、分解して研磨すれば40.000円程で新品ローラーと同じ性能が得られることになります。
これは輸入品の半額以下で国産高性能ローラーが手に入ることになります。
ロールの研磨には少なくとも2週間以上頂きますので、その間にフレームのオーバーホールや塗装をしてはいかがでしょうか。
完成後はチョットした使い方(のちに記載します)を守れば一生使用できると思います。
それでは画像を参考にしていただき分解していきます。

1. ハンドルを外す(止めピン、止めネジ、ナット止めなど機種によって色々な場合があります)
2. 板厚調整ダイヤルの裏ネジを外して真上に引き抜く
3. 上部両サイドのギアを回しながら外す(先端のキャップは保管しておく)
4. 上のロールを左右平行に上にあげて横に引き抜く 、この時にローラー横のスリーブは同じ部品であっても取り付け位置によって入らない場合があります、必ず組み立て時には同じ位置に装着しますので分かるように保管しておく事が大事です)
5. 上のローラー同様、下のローラーを左右平行に上にあげて横に引き抜く
《ギア付状態で研磨依頼される場合はここまでの作業となります》

更にギアを外して修理依頼される場合はプーリープラー(プーリー抜き)が必要です。
6. ギアをロールからプーリープラーを使って取り外します、この時外したスリーブは同じロールに装着しますのでマーク等をつけて保管します。
《ロールのみで研磨依頼される場合はここまでの作業が必要です》
注意事項
● 日本のローラーは精密に作られています(アソビが少ない)、力ずくでは中々分解できません、特にロール部は左右同時にゆっくりと外すことがポイントです。
組立方法や注意点、また、末永く使用できるコツなどは次回とします、
2020-02-20 11:36:27
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ロール研磨の第3弾、

ご覧いただいているロールは研磨前と研磨後の状態です。
溝付きの場合は溝の研磨は焼き入れ深度が浅いため研磨は不可能です。
ロール研磨は中央部のヘタリは2本ともほぼ同じですので、一番深い傷や錆深度が深い方を最初に研磨します。
研磨する厚みは皆さんが思っているよりもかなり少なくて1/10mm程度です。
ですから研磨後も焼入れの硬さは購入時と変わらないのです、何回も研磨可能です。
片側の研磨が終了したら直径が同じになる様に1/1000mm単位でもう片方を研磨します。
途中で研磨状態が良くても同じになるまで研磨します、これは圧延したときに地金が曲がらなくするためです。
また、表面の仕上げは鏡面にはせず地金がスリップせずに引き込むギリギリの面精度にします。
現在の円筒研磨機が超高性能であるため、購入時よりも芯ブレ精度や面精度は上がると思います。
次回は実際にロール研磨を依頼するためにはどうしたらよいのかをお話しします。
では次回に続きます、
2020-02-19 14:21:16
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前回の続きでロール研磨について第2弾です。
お話しした通り国産ローラーの生産が無い現状ですが、
研磨を依頼される方は所有の国産ローラーを研磨依頼される方と、
高品質な国産ローラーを捜し、中古を手に入れ研磨依頼される方に分かれます。
どちらの方も手入れを施し、末永く使用したいという気持ちは同じです。
ロール部に
⑴ 傷があり綺麗な圧延ができない
⑵ 錆びているため綺麗な圧延ができない
⑶ 上下を合わせた時に中央に隙間があり厚みにムラがでる

画像のようにロールを合わせて隙間が出るのは圧延許容範囲を超えて使用していた事が原因
いずれの場合も、ロール研磨することで新品時と同じになります。
中古を捜す場合、意外と身の回りの知人が錆びてしまって使い物にならなくなったローラーを持っていることがあります。
また、オークションで探す方もいらっしゃいますが外観が良くてもロールの状態が悪かったり、高額の場合が多いようです。
外観が良くてもロール部の状態が悪く研磨が必要な場合は研磨費用を頭に入れて購入しましょう。
ローラー本体は全体が錆びているものでも分解こそ大変ですが問題ありません、大丈夫です。
研磨をしていると年式の古い昭和時代のローラーは鋼材の質が高いことが解ります。
私がもしローラーを手に入れるとしたら昭和時代の製品を捜しロール研磨を施し、錆びないように使用及び保管して、傷防止のため地金を綺麗にして圧延許容範囲を守りながら一生使用します。
オークションで購入する場合の注意点
※ 国産か輸入品かを確認してください、日本製を模倣したのでそっくりです。
※ 外観よりもロールの状態で選びましょう。
※ ギアが欠けや欠損しているローラーは、ギアを捜すことが至難の業なので避けましょう。
※ ロール部にヒビや大きい凹(1mm以上)がある物は研磨では取り切れませんので避けましょう。
続きは次回とします、
2020-02-17 08:47:51
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今回は国産圧延ローラー復活と題して、ロール研磨についてです。
説明が下手で長文になってしまいますので何回か段階を追ってお話しします。
今回はその第一弾です。
以前から国産ローラーのロール研磨を行っていますが最近研磨依頼が増えてきています。
それには理由があります、大きな理由としては、国産のローラーは製造が終了しており入手ができないからです(記憶では)。
① 買い替えができないので所有している国産ローラーを研磨する。
② 中古で入手した国産ローラーを研磨する。
など新品購入できないのであれば既存の製品を新品時の性能を取り戻す、てなわけで研磨依頼が増えているのです。
画像はロール研磨前と研磨後の状態です。
研磨後のローラーの間に傷と錆止めのために油紙を挟んでありますので1本しかロールが見えませんが両ロール研磨済です。

海外製日本式ローラーを販売すれば問題ないと思われますが、実は10年前と5年前に2度輸入してテストしたことがあります。
結果はロールの焼き入れ不足、焼入れ深度も浅い、したがってロールの硬度が低く日本製とは似て非なる物!
ギヤの精度や強度にも問題があり圧延許容範囲であってもギア欠けが発生、細部も精度が低く遊びが大きい、などなど、、
今は少しは良くなったかな?しかし多少品質が上がっても日本の職人技には到底及ばない、というのが結論、いえ感想です。
そこで、古き良き自動車同様にレストアしようと考えロールの研磨を始めた訳です。
ローラーは自動車と異なり部品数が少なく電気部品も無い、何といってもローラーの命はロール、ロールの高精度な円筒研磨をすれば性能は購入時と同じ性能が蘇ります。
続きは次回また、
2020-02-14 13:47:42
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今日はチップトン社の2槽式高速バレルの修理です。
修理工程の半分は外で洗浄しながらの作業になるので、これ以上暑くならないうちに仕上げなければ、、、
ベルト切れの故障ですが、ベルト切れは殆どベアリングが焼け付き負荷が掛かることが原因です。
ポット受けを外すと案の定ベアリングが回転中止状態、その後も無理矢理に使用したため、本来はストレートのシャフトが回転しないベアリングとの接触部が摩耗して段差ができています。
1本のシャフトに対して4個のベアリングが装着してありますが、3個のベアリングが壊れていました、、シャフトも3段腹に、、、、
当然、新しいベアリングに交換しても隙間が出るためポット受けごと交換です(一番右側が交換するポット受け)。
今回は片側で済みましたが、このポット受け結構高いんです。
今回はポット受け1本とベアリング両側全て8個、タイミングベルト1本の交換となりました。
皆さん、異音がし出したらベアリング交換をすぐにしましょう!
その時点ではベアリング交換だけで済みますよ!
ポット受けを手で揺さぶってカタッカタッと動くようならポット受け交換の可能性大です。
修理はベアリング交換のみでも作業は同じで(新しいポット受け交換の方が楽ですが)丸1~2日の作業です。
それでも頑張ってできるだけお安く修理しますので、お気軽に症状を連絡ください。
2018-06-28 13:00:01
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